本日は哲学と宗教とは全史 中編4になります。
ここはこの本で一番私が好きなところです♥️
理由は最後の方に書いてあります。
哲学は近代の合理性の世界へ。
第一歩はイングランドからはじまった。
トマス・アクィナス(1225頃~1274)の時代に、スコラ哲学は信仰上位の世界観を確立しました。その論理はプラトンやアリストテレスの哲学を駆使して、精巧に構築されたものでした。このように神を頂点とする秩序が完成されたのですが、その秩序はルネサンスと宗教家改革の大波によって壊れ始めます。
神を絶体視せず、合理的に物事を見つめて考える知性の大切さに、人間が目覚めたからでした。
そして、信仰上位の世界から合理性と自然科学の世界へと時代は踏み出していきます。
近代の幕開けです。その先頭に立った思想家が、イングランドのフランシス・ベーコンでした。
ベーコンは「知識は力なり」と述べた。
フランシス・ベーコンは帰納法を体系化した人です。
帰納法とは、ある事象について数多くの観察や実験の結果を集めて、そこに共通するファクト(事実)から、一般的な原理や法則を導きだす推論の方法です。
例えば2本足で歩いている動物について調べていくと、人間とごく一部の猿しかいないので、人間と猿は同じ仲間だと結論づけるのが帰納法です。
帰納法には神の論理や既成の議論でものごとを判断しないで、人間が生きている現実世界のファクトだけから論証し、結論づけるのです。
まさに近代化学の方法論の誕生でした❗
なるほど、実践的な観察や実験を積み上げていけば、核心に到達できるということか、そこに神が介在する隙間がなく、人間の力で答えを出していくということなのかな。
ベーコンが考えた人間の4つのイドラ
ベーコンは実験や観察には常に誤解や先入観、あるいは偏見がつきものであることを理解していました。
人間には、そのような偏見や先入観に囚われがちな性質であることを、ベーコンは警告しています。
彼はその著書「ノヴム・オルガヌム」の中で、人間が持つ4つのイドラについて言及しています。いかに厳密に観察や実験を積み重ねても、人間はこの4つのイドラ(偶像、幻影)に気をつけないと、世界の真実を見逃してしまうと警告したのです。
1、種族のイドラ
人間が本来、自然の性向として持っている偏見。対象を自分の都合のいい方向に考える性向です。嫌なことは過小評価する。楽しいことは過大評価する。見たいものしか見ない。そのような性向をさします。
2、洞窟のイドラ
個人の経験に左右されて、ものの見方がゆがむケースです。狭い洞窟から外界をのぞき見るようにしか、ものが見れないことです。
3、市場のイドラ
伝聞によるイドラとも言います。市場の人混みで耳にした噂話から、事件の真相を誤って理解してしまうケースです。週刊紙の記事に踊らされるのも、これと似ています。
4、劇場のイドラ
別名は権威のイドラです。劇場の舞台で有名なタレントが話したことや、立派な寺院で権威ある宗教家が説教したことを、なんの疑いもなく信じてしまうようなケースを指します。
ベーコンは自然の現象や実験の結果を、我流に解釈したり、安易に既存の概念で分析したりしないための防衛策として、4つのイドラを指摘しました。
この4つは、現代人えの警告にもなっています。
とても400年前の言葉とは思えません❗
ベーコンのことはよく知らなかったのですが、この本で好きになりました。
すごいです。本当に400年前にこれを考えついたのかと思うと信じられないです。
私は今確証バイアス、現状維持バイアス、現在志向バイアス、の他にこの4つのイドラに注目しています。確証バイアスと種族のイドラはだいたい同じだと思います。
過去に失敗したときこのどれかに当てはまっていないかと考えた時、あの時の判断は
種族のイドラだったなぁとか、劇場のイドラだったなとか思い出されて知っていれば間違えなかったのかも、と思うことがたくさんあります。
結論として、重大な判断や決断をするとき3つのバイアスと4つのイドラに注意を向けることが大事になると思います。
ベーコン先生は偉大です。もっと早く学んでおけばよかったなぁ(笑)❗
読んでくださりありがとうございます。なにかあなたのお役にたてたら幸いです。